Beyond Control

多忙を極めた8月が過ぎて、いったん脱力してしまったせいか、どうも仕事に集中できず困る。晩夏?早秋?の暑さも原因かもしれない(good excuse...)。まだまだ今月も小さめの仕事や中くらいの仕事や大きな〆切が(結局ひととおり!)控えているんだけどな...困った。


しかし昨日は911から10年、311から半年、ということで、関連する映像やドキュメンタリーなどを延々と見続けてしまった。どれも片手間で観るようなものではないだけに、思わず集中してしまい、全てを見終えたあとはしばらく脱力。
これだけでもエネルギーを使うのだから、実際に一連のできごとに直面したのなら、どれほど強烈な経験だっただろう。


特に911関連は特集も多かったので、CNN→BBC→National Geographic→Al Jazeera の順でどんどん映像を観ていく。やはり独自の視点が群を抜いて面白かったのはアルジャジーラの映像。


同じ911回顧とはいえ、そもそも誰の声を拾い、インタビュアーが何を尋ね、どのように編集するかで全ては圧倒的に異なってくるという意味で、こういうクリップの作り方は人類学の民族誌の書き方(あるいは調査の仕方)とも強くリンクする。「視点」とはそういうもの。


フォーマルなインタビューからインフォーマルなおしゃべりまで、多くを聞き取っていると、肝心なのは言葉の中身よりもむしろ声のトーンや身振りや微妙な表情の変化にあると思えてくる。口先では何でも言えるかもしれない、でもその場の感情に伴って身体から発現する多様なサインは、卓越した演者でないかぎり自覚そしてコントロールできない。


パウエル元国務長官へのインタビューbyアルジャジーラも、イラク攻撃の根拠となった演説を否定させる内容なのだが、彼が途中で感情的になってしまう箇所が見てとれる。政治家の振るまいとしてはNGかもしれないが、そのような態度を引き出したインタビュアーは実に恣意的に、対話を展開していたのだろう。


アルジャジーラのクリップにはもうひとつ印象的なものがあった。それはポリフォニーという話につながるので、また次回に。