想像力の欠如

親愛なるSの東京藝大大学院一次合格に祝杯をあげて帰宅。つまり十分に眠い時刻なのだけれど、チュニジア〜イエメン〜アルジェリア〜エジプト関連のニュースを追っていたら腹が立ってきて眠れない。


一連の民衆の蜂起/革命について、特にエジプトを盟友としてきたアメリカがどのような反応をするのか、オバマクリントンの見解を聞いた(なんかこの書き方だとまるで個人的に聞いたみたいな響き?んなわけない)。そこでは「言論の自由と民主主義」をスローガンに「世界の警察」のような気分でいるアメリカの、中東政策における今後への危機感と動揺がうかがえる。基本的には政府の武力弾圧や情報統制を非難し、政治改革を求めているのだが、結論はといえば「私たちは『エジプト政府』と『エジプトの民衆』と両方の味方である」という、なんともお茶を濁すような、八方美人な締めくくりかただ。


そりゃそうだ。2009年時点でアメリカはエジプトに対して13億ドルの軍事資金提供と2億5千万ドルの経済援助をしているほど、アメリカにとって親米ムバラク政権はアラブ外交およびイスラエルパレスチナ問題における要だったのだから(具体的な数字などの情報byウィキリークス。ちなみにウィキペディアウィキリークスwikiってハワイ語の「速い」って意味なのですよ)。


「安全保障」「治安維持」などと謳うのは結構だが「誰にとっての」安全、治安、ひいては幸福を守ろうとしているのか、まずはその辺を明確にすることから始めてくれないと、欺瞞的にしか見えないのは当然だろう。


と、ひととおり憤ってみたが、「エジプトツアー中止の余波について旅行代理店が懸念しています」などという平和ボケした報道が多い日本のメディアはそれよりもっと嘆かわしい。ピラミッドを見に行きたいというのなら、そこに生きている人びとが直面している現実を少しでも理解することから始めてはどうでしょう?

……
外国で飛行機が墜ちました
ニュースキャスターは嬉しそうに
乗客に日本人はいませんでした
「いませんでした」
「いませんでした」
僕は何を思えばいいんだろう
僕は何て言えばいいんだろう
……

'JAM' THE YELLOW MONKEY