ひよっこ授業の備忘録(前編)

さいきん自分の教職歴について尋ねられることがあったのだけど、答えようとしたらかなり忘れかけていたので、備忘録として。どたばたひよっこ授業inハワイ。


1年前、ハワイから帰国する直前の夏のセメスターで、ひとつ授業を受け持っていた。大学ではじめてまともに教えた授業が「海外で、英語で、学部の3、4年生向けで、ライティングに特化した集中コース」というのは、国内のひよっこ同業者ならわかってくれると思うが、かなり異常事態だ。


講師に応募し、若干緊張の面持ちで面接に行くと、「下心のあるサンタクロースinアロハシャツ」のような学部長が登場したので脱力。少しでも緊張した自分を悔やんだ。
やたら饒舌な彼としばらく世間話に花を咲かせた後、ようやく本題に移ったかと思えば「君なら大丈夫だよho!ho!ho!」と、瞬く間に応募していたのとは別の授業を割り振られてしまった。(表現に若干の誇張がありますが気になさらず。)


そんな成り行きで担当することになってしまった授業は、確実に自分のキャパシティを越えており、とにかく私はひいひい言い続けていた。約6週間に渡って、連日の授業だったんだもの。毎日ですよ、ま、い、に、ち。
そのなかにちょこちょこと小テストがあり、提出物があり、中間試験があり、期末のペーパーがある、という学生にとっても講師にとってもハードな日々。


Analysis in Field Research Methods(フィールド調査法の分析)というタイトルのそのコースに参加していたのは、社会学専攻の学生が中心で、「質的調査って何?参与観察ってどうやるの?」という基本的な手法を、演習形式で教えるものだった。
演習なのでクラスの規模は小さく、学生も10人ほどで、とてもアットホームな雰囲気が幸いだった。その10人の生徒も、白人、黒人、ハワイアン、中国系、フィリピン系、という構成で、まさにハワイの縮図のような多様性。


使用するテキストから授業の構成から、課題から採点基準から、とにかく全てを自分で決めなくてはならず、またいわゆる教科書に加えて映像資料などいろんな「ネタ」を仕込んでおかなければ、ノンネイティブの自分がスムーズに授業を進められる自信もなかったので、準備が大変だった。
you tubeにもお世話になりましたよ、ええ。(日本語ではまだ少ないけれど、you tubeは研究者のインタビューや講演、大学の講義など、アカデミックな素材の宝庫なのです。授業マテリアルとしても有用でした。)


なんだか導入部だけで長くなってしまったから、今日はこのへんで。実際のひよっこ授業の全貌は次回につづく。